2026年5月11日 NEWS DAILY CONTENTS

コロナのように広がる? ハンタウイルスの危険性をNY市が説明

南米アルゼンチン発のクルーズ船で発生したハンタウイルス集団感染(乗客148人のうち3人が死亡、8人の感染を確認)を受けて、ニューヨーク市保健精神衛生局(DOH)は8日、公式見解を発表した。DOHは一般市民に対するハンタウイルスのリスクを「極めて低い」と判断。ニューヨーク市の住民で感染の疑いがある者は確認されておらず、1995年に追跡調査が開始されて以来、市内で症例は報告されていない。現状をまとめた。

スピッツベルゲン島(ノルウェー領)で2025年6月、撮影されたMVホンディウス号(photo: Stefan Brending, https://de.wikipedia.org/wiki/Benutzer:2eight)

現時点でのリスクは?

極めて低い。クルーズ船内での集団感染に関連する株は「アンデスウイルス」と呼ばれる南米で確認されている株で、人から人へ感染することが知られている唯一のハンタウイルス株。ただし、アンデス株の人から人への感染はまれであり、通常は感染者との長期間にわたる密接な接触が必要となる。8日時点で、ニューヨーク市在住者が同船に乗船している、あるいはその他の感染リスクにさらされているという報告はない。

状況の監視

8日の時点で、当局は現在のクルーズ船での症例に直接関与していないものの状況を注視しており、連邦政府と連絡を取り合っている。

臨床上の注意

DOHは、重度の呼吸器症状を呈する患者について感染クルーズ船(MVホンディウス号)との関連性を医療従事者が認識するよう推奨。

ハンタウイルスとは?

本来はネズミなどのげっ歯類に感染する。感染した齧歯類の尿、糞、または唾液との接触を通じて人に感染することがある。ハンタウイルスのアンデス株はまれで、主に南米の一部、特にアルゼンチンとチリで確認されている。北米で流行している株を含め、他のハンタウイルス株において人から人への感染が確認された例はない。

ハンタウイルス肺症候群(HPS)の症状

曝露後4~42日で症状が現れ、症状が出ている期間のみ感染力があるとされる。症状には、発熱、倦怠感、筋肉痛、頭痛、咳、胸痛および胃腸症状が含まれる。より重篤な呼吸器疾患ハンタウイルス肺症候群(HPS)へと進行した場合は死に至る場合もある(感染者の10人に約4人が死亡)。

感染予防

ネズミやげっ歯類が生息する場所では、ほこりを巻き上げないようにする。排泄物をほうきや掃除機で直接掃除せず、消毒剤を使用すること。ハンタウイルス・アンデス株感染症が疑われる、または確定した患者は、ガウン、手袋、眼の保護具、N95マスクまたはそれ以上の性能を持つ呼吸用保護具を含む適切な個人用防護具(PPE)を着用し、飛沫感染隔離室でケアを行う必要がある。

報告と検査

ハンタウイルス感染症が疑われる場合は、直ちにDOH(866-692-3641)に連絡すること。

コロナとハンタウイルスの違い

どちらの病気も重篤な呼吸器症状を引き起こすが、ハンタウイルスは「よく知られた」非飛沫感染性の病原体で、アンデス株を除き通常は人から人への感染は起きない。HPSの致死率は高く、今回の集団感染では約38%に達したが、大規模なパンデミックを引き起こすほど効率的に感染するわけではない。また、アンデス変異株はCOVID-19とは異なり、免疫系を回避するために急速に変異することはない

CDCの対応に批判

世界保健機構(WHO)や他の国々は5月2日に通報を受け、直ちにオランダや他国との連携を図るため迅速に行動を開始した。一方、一部の専門家は米疾病予防管理センター(CDC)の対応が過去の国際的な健康危機と比較して「遅々として進まない、控えめすぎる」と批判している。批判派は、トランプ政権および保健社会福祉省(HHS)のロバート・F・ケネディ・ジュニア(RFK Jr.)長官による大規模な人員削減などCDCの抜本的改革の直接的な結果であると主張。これらの改革により、CDCは新たな健康危機への備えが不十分になったと報じられている。

また、アメリカのWHOからの脱退も情報共有に断絶をもたらしている。経過を観察している関係者は、透明性のある情報伝達が欠如していると懸念を示している。専門家も感染拡大に関する重要な最新情報が乏しいと指摘。リスクに関するCDCの初期声明(4月11日に最初の感染者が死亡、CDCが初めて声明を出したのは5月6日)は、このような状況下で期待される技術的な詳細が欠けていたため、公衆衛生の専門家たちから「役立たず」と評された。

                       
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