2026年5月26日 NEWS DAILY CONTENTS

「面接は母国で」アメリカのグリーンカード申請が厳格化|パニック広がる新指針、今知っておきたいこと

米移民局(USCIS)は22日、ビジネスや留学など非移民ビザ所有者が、アメリカ国内で永住権(グリーンカード)取得手続きを完了できる従来の慣行を廃止し、母国のアメリカ大使館などで行うことを義務付ける新たな指針を発表した。トランプ政権による厳格な移民政策の一環。指針の要点と、変更に伴う反応についてまとめた。

港区赤坂にある駐日アメリカ合衆国大使館(photo: Rs1421)

アメリカ国内に合法的な非移民ビザで滞在している場合、通常は出国せずに永住権に切り替える手続き「在留資格の変更(Adjustment of Status: AOS)、申請書はI-485」が法律上認められている。しかし、USCISが発表した新しい政策ガイドラインにより、国内での手続き要件は大幅に厳格化された。手続きの方法は、保持するビザの性質によって次のように異なる。

1. 「二重の意図(デュアルインテント)」が認められるビザの場合

対象となるビザ:H-1B(専門職)、L-1(駐在員)などのビザ保持者とその家族。
対応:帰国せず、アメリカ国内で永住権の手続きを進められる(言い換えれば面接を受けられる)可能性が高い。
理由:これらのビザは「将来的に永住する意思(移民の意図)」を持つことが法律で認められている。今回の厳格化方針の影響を比較的受けにくいと推定されている。

2. 「非移民の意図」しか認められないビザの場合

対象となるビザ:F-1(学生)、J-1(交流訪問者)、B-1 / B-2(観光・商用)、ESTA(ビザ免除)など。
対応:一度帰国し、日本にあるアメリカ大使館・領事館で移民ビザを申請するよう求められる可能性が高い。
理由:今回のUSCIS通達により、「一時滞在目的のビザを永住権取得のステップ(足がかり)として利用すべきではない」との方針が強化された。アメリカ国内での在留資格の変更(AOS)は「特別な事情(Extraordinary Circumstances)」がある場合に限定され、原則は国外での申請が推奨される。

注意すべきリスク:「移民の意図(Immigrant Intent)」

非移民ビザ(F-1や観光など)で入国してすぐに永住権を申請すると、「最初から永住する目的だったのに、嘘をついて一時滞在ビザで入国した(移民詐欺)」と見なされ、永住権が却下されるだけでなく、将来的な入国禁止措置を受けるリスクがある。

結婚による永住権取得の面接も母国で受けなければならないか?

結婚による永住権取得の面接を母国で受ける必要があるかどうかは、現在の居住地と移民記録によって決定する。新しい指針では、在留資格の変更(アメリカ国内からの申請)は、自動的に認められる権利ではなく、例外的な行政上の配慮として扱われる。

現在、アメリカ国内に居住している場合

面接のために国外へ出国する必要は必ずしもないが、在留資格の変更申請(I-485)が承認されることが条件となる。ただし、新しい指針により、入国方法やビザの履歴について厳格な審査が行われる。

良好な入国管理記録: 現在、有効な一時滞在ビザ(H-1BビザやF-1ビザなど)でアメリカに滞在しており、入国管理法を全て厳守している場合、通常は配偶者と共に最寄りのUSCIS現地事務所で面接を受けられる。

審査の裁量権拡大:新しい通達に基づき、USCISの担当官は、観光ビザ(B-1 / B-2またはESTA)で入国し、ビザの滞在期間を超過した、または無許可で就労した申請者に対して、アメリカ国内での在留資格の変更を却下する広範な権限を有している。担当官がこれらの要因を理由にI-485申請を却下した場合、申請者は母国に戻り、領事館手続きを通じて手続きを完了しなければならない。

面接への出席は必須: アメリカ国内での面接資格がある場合でも、前政権下で認められていた面接免除措置は廃止されたため、申請者本人と配偶者の双方が、USCIS担当官の前で必ず一緒に面接に出席しなければならない。

変更に対する反応

永住権の面接を母国で行うようにする今回の指針は、アメリカの移民執行における重要な構造的変化を意味しており、トランプ政権側の意図については、政治的・法的な立場によって見方が分かれている。移民法弁護士、公民権擁護者などの批判派は、合法・違法を問わず移民の数を減らすための意図的な取り組みであると主張。一方、保守系シンクタンクや移民制限論者を含む現政権の政策支持者たちは、これらの措置を移民制度を守るために必要な是正策(結婚詐欺の抑止や法の支配の維持)と見なしている。

申請者の間ではパニックと混乱広がる

SNS上では、現在I-485の審査待ちの人々から「手続きの途中で国外退去を余儀なくされるのか?(※参照)」といった膨大な数の問いかけであふれている。また、 TikTokやInstagramには、「面接のためにアメリカを離れ、母国で申請を却下された場合、(アメリカの)家族と離れ離れになり、仕事やアメリカに戻る手段を失うことになるのではないか?」といった不安と怖れの声も上がっている。

「(手続きを厳格化し)あまりにも“不快”なものにして、帰国させるように仕組んでいる」「合法的に長年アメリカに住み、税金を納め、家庭を築いてきた人々に対して、突然日常を根こそぎ変えるよう強いるのは、全くもって不公平」などと、生計を支える者を期限が定まらない領事館での待機のために国外へ追放することは、ステータス(在留資格)が異なる家族に壊滅的な経済的打撃を与えるとして、厳しく批判する声も多い。

一方、この政策転換を「遅きに失した是正措置」と捉える声も少なくない。結婚による永住権取得を目的に観光ビザやESTAで入国する者が依然として後を絶たないことを理由に「抜け穴の封じ込めは必要」とする声や、「海外で何年も合法的に順番を待っている移民に対して不公平」「(今回の変更は)他のほぼ全ての国での標準仕様だ」などと強く擁護する声も根強い。

※移民弁護士らはオンライン上で、「この政策は主に新規申請および『二重の意図』がないビザを所持している人を対象としている」と説明している。

                       
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