アメリカでゆとりのある暮らしを送るのには単身者で少なくとも年8万ドル、4人家族で20万ドルが必要—金融情報サイト、スマートアセット(SmartAsset)は全米50州で「ゆとりある生活」に必要な年収を試算。8月27日、同サイトで発表した。

近年は、物価高のニューヨークに悲鳴を上げて他州への移住を考える人も少なくない。写真はイメージ(photo: Unsplash / National Cancer Institute)

調査は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の「生活賃金計算機」が示す2026年2月時点の基礎生活費を使用。生活必需費を予算の50%、娯楽や外食など自由に使う費用を30%、退職資金や緊急時の貯蓄を20%とする「50・30・20ルール」に当てはめ、必要な税引き前年収を算出した。

NY州は単身者で12万ドル以上

インフレが続くアメリカでは、住宅費や食費、交通費などの上昇が家計を圧迫し、単身者は全州で少なくとも年8万ドルが必要となった。10万ドルを超えたのは20州で、6桁の収入でも十分な余裕を持てない地域が広がっている。

単身者で最も高かったのはハワイの12万9002ドル。次いでマサチューセッツ州12万7213ドル、カリフォルニア州12万6797ドル、ニューヨーク州12万4342ドル、ニュージャージー州11万3776ドルだった。ニューヨーク州は前年比8.4%増で、上昇率はモンタナ州の8.6%に次ぐ全米2位。ニュージャージー州も4.4%増となった。

ニューヨークとニュージャージー州はいずれも全米上位で、当地で暮らす日本人にとっては就職・転職時の給与水準、住居選び、家族帯同の判断、貯蓄計画を考える際の目安となる。ただしこれは州単位の試算であり、ニューヨーク市やその近郊では必要額がさらに高くなる可能性がある。

4人家族では29万5000ドル

共働きの大人2人と子ども2人の4人家族では、40州で年20万ドル以上が必要とされた。最高はマサチューセッツ州の32万9555ドルで、ニュージャージー州は29万5110ドル、ニューヨーク州は29万1533ドル。最も低いのはミシシッピ州の18万7533ドルだった。単身者の最低額はウエストバージニア州の8万1245ドル。前年より必要額が下がったのはテネシー、メリーランド、ルイジアナ、ノースカロライナ、ミシシッピ、テキサスの6州にとどまった。

なお、数値は州全体の平均的な費用を基にした目安で、家賃が突出して高いニューヨーク市などでは、実際に必要な収入がさらに膨らむ可能性がある。

FRBの利上げ示唆でインフレは?

連邦準備制度理事会(FRB)のケヴィン・ウォーシュ議長は8月28日、ワイオミング州で行われた経済政策シンポジウムの講演で、インフレが高止まりしているとして将来の利上げを示唆した。利上げはインフレ率を抑える方向に働く一方、家賃や食品価格が直ちに下がるわけではない。ニューヨーク近郊では住宅ローンやカード金利、企業の資金調達コストがさらに上昇し、家計や雇用を圧迫する可能性もある。