ネット通販大手アマゾン・ドット・コムが第2本社の建設地の1つをクイーンズ区ロングアイランドシティーに選定した問題で12日、ニューヨーク市庁舎で公聴会が行われた。FOXニュースなどが報じた。会場には「アマゾンにNOを」と書かれた横断幕が掛けられ、出席した2人の同社幹部は反対住民らの糾弾とブーイングの的となった。発言した市議会議員も全員が反対。州や市と同社との交渉が秘密裏に行われたことへの不満をあらわにした。コリー・ジョンソン議長は「他の都市と比べられ、だまされた気分だ」と話した。今後も同様の公聴会を開く意向だという。

市庁舎前ではこの日、反対住民や活動家らが集結し抗議デモを行った。アマゾンのロゴをひねって怒り顔にした多数の段ボール箱の他、「アマゾンを止めろ」などと書かれたプラカードが掲げられた。出席したスコット・ストリンガー会計監査官は「建設で最も苦しむ住民の意見を除外して締結した30億ドルの税制優遇措置など到底受け入れられない」と訴えた。写真は小売・卸売・百貨店連合のツイッター(@RWDSU)より
アマゾンに非公開情報を提供 NY州と市、「迎合」の声も
【12日付ニューヨークタイムズ】ネット通販大手アマゾン・ドット・コムの第2本社誘致に向け、ニューヨーク州および市が同社に入手困難な情報を提供していたことが分かった。
州と市は10日、今年3月に同社に提出していた253ページに及ぶ提案書をオンライン上で発表。しかし機密情報を含むとし、直後に掲載を中止した。ニューヨークタイムズが掲載中止前にダウンロードしたこの提案書によると、州と市が同社に提供した情報の中には空港へのアクセスや教育水準などの入手が容易な情報の他、利用可能な不動産開発地や進行中または建設予定の計画など、非公開で入手困難なものも含まれていた。
提案書は同社が第2本社建設に向けて求めた情報に、候補となった各都市が答える形をとっていた。同社は、第2本社選定の核心となる優秀な人材をどれだけ擁するかに焦点を当て、機械学習の専門家およびUX(ユーザー体験)デザイナー、ハードウエアのエンジニアの3種の人材確保の可能性についても詳細な情報を求めていた。
I「アマゾン」NY、ロゴも提供
ニューヨーク市経済開発公社(EDC)はこのほど、アマゾン第2本社建設の公式ホームページ(www.hq2.nyc)を立ち上げた。ニューヨーク州と市が同社に提出した提案書の表紙には、観光事業キャンペーン「I ♥(Love) NY」をもじったロゴが使われている。ネット上では「ご機嫌取り」「いち企業にそこまで迎合するのはおかしい」などと批判の声が上がっている。
アンドリュー・クオモ知事は以前、自身の名前を「アマゾン・クオモ」にし、ブルックリン区とクイーンズ区の境界にもなっているニュータウン川の名前を「アマゾン川」にする覚悟だと明かしていた。

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