コロナ禍の「上乗せ失業保険」は再雇用の妨げ 毎週600ドル追加、職場復帰意欲減

 新型コロナウイルスの影響で解雇された人の約半数が、通常の収入よりも多額の失業給付金をもらっていることから、雇用主から「事業再開の計画を複雑にしている」との声があがっている。ウォール・ストリート・ジャーナルが28日、報じた。
 3月に可決された新型コロナウイルス刺激策一括法では、毎週600ドル(約6万4110円)が7月31日まで、失業給付金に上乗せされる。これにより、失業者が1週間に受ける給付金の額は、昨年平均の377ドル97セントを大きく上回り約978ドルとなる。
 労働省の統計によると、2020年の第1四半期、フルタイム労働者の半数の収入は、週957ドル以下だった。
 今回失業保険に上乗せされる600ドルは、時給15ドルでフルタイムで働いた収入と同額。一方、米国の21州の連邦最低賃金は現在7ドル25セント。600ドルは、これまで民主党議員が引き上げようと検討していた連邦最低賃金の目標額にあたる。また、上乗せさせる額は、各労働者の賃金に調整することが旧式のテクノロジーにより不可能だったため、定額になったという。
 刺激策の本来の目的は、低賃金労働者を数カ月間、経済的被害から保護するため、また経済再開時の景気回復に向け、消費者の購買力を促進させるためだった。
 しかし、いつも働いて得る収入よりも、失業保険の方が高い金額をもらえることから、一時的に解雇された人々は今後、事業が再開されても、しばらくは再雇用を求めないことが懸念されている。

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