津山恵子のニューヨーク・リポートVol.28 バイデン、「地雷」は若者 それでも投票をするのか

 

津山恵子のニューヨーク・リポートVol.28

バイデン、「地雷」は若者
それでも投票をするのか

ケンブリッジの投票所前に立つメリッサ・ロスさん

 

「バイデン、バイデン、何してる?子どもたちを殺すのに手を貸している!」  

3月2日、ワシントン・スクエア・パークで開かれた親パレスチナ派の学生集会。土砂降りの中、2時間ちかく参加者が声を張り上げている。公立校生徒が主導して約2千人が集結し、イスラエルのガザ攻撃を「ジェノサイド」として非難した。イスラエルにはっきりと停戦を持ちかけないとして、バイデン政権に対しても矛先を向けた。 「今世界でイスラエルとハマスの戦争を止められるのは、バイデンしかいない。でも、彼の動きはすごくスローで、何もしていない。彼の側近が考えていることもわからない。イスラエル人人質を解放するのに、殺人を続けていいわけがない。失望した。選挙で彼に投票するか今は分からない」 と、大学生のマリーアさん(20)。パレスチナ国旗の色をあしらったスカーフ「ケフィエ」をまとっている。  

大統領選挙の候補者を一本化する予備選挙は、3月5日のスーパーチューズデーが終わり、先はみえた。民主党候補はバイデン大統領、共和党候補はトランプ被告・前大統領で確実となった。これから11月まで実質的に長い「本選挙」となる。  

どちらが勝つのか。世論調査の結果は現在、軒並みにトランプ被告がリードしている。バイデン氏にあまりいいニュースはない。2020年に彼を勝たせた若者層は、地下鉄の中でもケフィアを身につけ、バイデン政権への批判を表明している。  

ミレニアルでアート教師のメリッサ・ロスさん(39)はスーパーチューズデーの日、マサチューセッツ州ケンブリッジの投票所前に一人で立っていた。「民主主義を取り戻す」(ロスさん)ことを訴え、彼女が支持する女性下院議員候補者の名の看板を掲げている。  

アメリカのミレニアルやZ世代はなぜ、こんなに政治についてアクティブなのか? 「今は、過去のように若い人がノンポリという時代ではもうない。アメリカの民主主義は崩壊しつつある。地球環境は破壊されている。戦争が2つも続いている」 「でも親は生活を支えるのに忙しくて、なぜこんなことになっているのか教えてくれない。だから若い人は自ら危機を学んで判断し、行動を起こしている」 とロスさん。  

若い人たちの活発な動きを見ると、バイデン陣営にとって、まさに「地雷」だ。イスラエルとハマスの戦争が長引くほど、若い人は政権に反感を募らせていく。民主党政権について、若い人がこれほどの抵抗をみせるのは近年では極めてまれだ。  

果たして彼らは11月、それでもバイデンに投票するのか。それともアンチ・バイデンの態度を示して、トランプに?11月まで若い人たちの動向に眼が離せない。 (写真と文 津山恵子)

 

津山恵子 プロフィール
ジャーナリスト。ザッカーバーグ・フェイスブックCEOやマララさんに単独インタビューし、アエラなどに執筆。共編著に「現代アメリカ政治とメディア」。長崎市平和特派員。元共同通信社記者。

タグ :