■日本株は海外投資家、コンピュータが買っている
日本株の上昇も、世界の金融緩和マネーが大量に流れ込んだからである。
なぜなら、日本の株式市場を動かしているのは、日本人ではなく外国人だからだ。東京証券市場を見れば、その取引の約6割は海外マネーである。海外の機関投資家、ファンドなどは、日本の景気動向など見ていない。
なにしろ、ファンドマネジャーたちは、日本に居住していないし、日本語など知らない。よって、彼らは日本株をビットコイン、原油、穀物などと同じ投資商品としか見ていない。しかも、取引はコンピュータによるHFT(超高速取引)で、売買のアルゴリズムは確立されている。
もう一つ、日本市場が特殊なのは、日銀や年金機構など公的資金(いわゆるクジラ)がいることで、これらのクジラは海外が投げ売りしてもすぐに買い取る。
これでは、株価が実体経済と関連するわけがない。
(とはいえ、いくらなんでも景気が悪化すれば、いずれは下がるだろう。まったく関連しなくなったら、ただのカジノ、ゲームセンターである)
■株価は永遠に上がり続けるという経験則
ここからは、なにがあっても株価は上昇するという「理屈」=「経験則」を述べる。
まずなんと言っても、長期的に見れば株価は絶対に下がらない。上がり続けるのだ。
NYダウは、1980年には960ドルにすぎなかったのに2000年には1万780ドルとなり、いまはなんと4万5000ドル台で1980年の約46倍、2000年の約4.5倍となっている。NYダウだけではない。世界の株価はみな上がっている。ドイツDAX指数は2000年には6400ポイントだったが、いまは2万4000ポイントで2000年の約3.9倍となっている。このように株価というのは、紆余曲折はあってもずっと上がり続けるものなのである。
ただし、日本だけは例外で、1989年12月29日の3万8915円というバブル期最高値から下がり続け、一時は8000円まで下がった(2008年)。しかし、その後は上がり続け、今年になってようやくバブル期最高値を超え、いまは4万2000円台である。
以上は、現時点で振り返った株価の推移だが、これで言えるのは、ほとんどの投資家は、株価は上がるものとして買い続けてきたということだ。
つまり、誰もが未来は過去の延長線上にあると思い、経験則から株を買う。売る人もいるが買う人のほうが多い。これがずっと続いてきたということで、この状況が崩れない限り、経済状況などとほとんど関係なく、株価は上がる。
■あるのか「感謝祭暴落」「クリスマス暴落」
さて、トランプ関税に話を戻そう。
どこからどう見ても、トランプ関税は景気を悪くするが、まだ経済指標にそれが表れていない。
それは、関税で上がった分を、アメリカ以外の輸出業者やアメリカ国内の輸入業者が自己負担しているためだ。その結果、まだアメリカ国内での物価上昇は抑えられている。
つまり、ここまではトランプ関税の上昇分は価格転嫁されていないし、価格転嫁されるにしても、そのスピードは当初考えられていたものよりゆっくりである。だから、株式市場参加者は、以前と同じように株を買い続けているのである。
しかし、この先ずっと価格転嫁しないでいられるはずはなく、いずれ価格に関税分を上乗せせざるを得なくなる。そうなると、物価の上昇率が大きくなり、悪性インフレが進む。そのとき、はたして市場はどう反応するだろうか。
物価上昇が顕著になると思われるのは、感謝祭ごろである。感謝祭明けてからクリスマス商戦が始まるが、この辺までが、メーカー、輸入業者、小売業者の自己負担の限界だろう。
とすると、株価は「感謝祭暴落」「クリスマス暴落」に見舞われるかもしれない。(了)
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山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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