2026年6月26日 NEWS DAILY CONTENTS

なぜあなたはNYに? 日本人ニューヨーカーに聞く「10の質問」No.7 舞台演出家 河村早規さん

ニューヨークを拠点に活躍する舞台演出家の河村早規さん。最高峰のエンターテインメントを求めて世界中からクリエイターやパフォーマーが集う街で、日本育ちの河村さんも存在感を強めている。「描けないと、叶わない」。ブロードウェイでの舞台演出を夢見て突き進む彼女は、そんな軌跡をユーチューブやポッドキャストでも発信しており、彼女の”マインド”に共感するファンも多い。

ニューヨークを拠点に活躍する舞台演出家の河村早規さん

“人種のサラダボウル”と呼ばれるニューヨークの共通言語は英語。この街で対等に活躍するための英語も意識して習得を続ける河村さん。2025年には初の著書となる「ニューヨークで見つけた、強さをくれる英語 Think in English」(KADOKAWA)を出版した。夢を叶えたい若者が集まる街で、頑張り続けるには? 負けないためのコツは? 10の質問から探っていく。

1. 職業は?

舞台演出家です。

ニューヨークのペース大学院時代の同級生(写真2列目中央右、photo: 本人提供)

2. ニューヨークに来たのはいつ?

2019年、7年前ですね。

3. 何をきっかけに?

大学院への進学のために来たので、最初の3年間は大学院に通い、そのあとOPTを経て、アーティストビザを取得しました。

日本のテレビ番組「世界ふしぎ発見ミステリーハンター」にも出演した(photo: 本人提供)

4. なぜニューヨーク?

大学院を調べていた時に、舞台演出で修士号を取れる学校がヨーロッパにはほとんどなくて、ニューヨークや西海岸も視野に入れ始めました。でもせっかく3年間しかいられないんだったらニューヨークかな?と思い、この街に決めました。

「目の前の仕事を大事にしていく」とのモットーは昔から変わらないという

舞台演出は、幼い頃に舞台に立っていた経験があり、その頃から「私だったらセットデザインをこう動かすな」「こういうライティングをしたらいいな」とか、そういうことにすごく興味があって。大学でもダンスサークルに入り、その時もやはり演出をやっていたので、大学院には「とりあえず勉強したい」「後悔する選択をしたくない」という気持ちで来ました。

幼少期からダンスを通じて舞台への興味が強かった(写真左、photo: 本人提供)

5. ニューヨークでの挑戦で、一番心が折れそうになった出来事は?

一番最初は大学院で、先生に「Your English is terrible」って言われたことですかね。最初の3カ月目くらいで、課題もこなしながら英語にも慣れてきたところだったので、その言葉はすごくショックでしたね。

当時、先生には「ライティングセンターに行け」と勧められたのですが、そういうことよりは、目についたものを英語で言えるようになったり、聞き慣れない英語は必ずメモして次に使えるようにするとか、そういう小さなことの繰り返しをして、「とにかくやるしかない」という気持ちで取り組みましたね。

さまざまなハードルを乗り越えて、大学院を首席で卒業(写真2列目中央右、photo: 本人提供)

6. ニューヨーク生活で、メンタルが落ち込んだときの回復方法は?

ショーを見に行くことは大事かもしれないです。なぜ自分がニューヨークでこの仕事をやってるのか?ということを思い出させてくれるから、疲れていたりしんどくても行くようにしています。

7. ニューヨークで心を救われた経験や、一番うれしかった出来事は?

心を打ち砕かれることが多いからこそ、人の優しさに毎回救われて、続けられているというのがあって。その中でもやっぱり自分のボスからの言葉や、仕事で評価される言葉をかけられたときは一番、心が救われますね。

ブロードウェイを代表する劇団の一つ、Roundabout Theatre Companyが次世代演出家の育成を目的に実施する「Directing Fellowship」に、2024〜2025年度フェローとして選出された(photo: 本人提供)

演劇業界では作品の幕が開くタイミングでオープニングパーティーというのがあって、そこで大体、手紙やプレゼントをもらえるんですね。この前、東京でとある作品に関わった時に、イギリスのディレクターと一緒に活動をしていたのですが、オープニングギフトとして”言葉”をくれたんです。ウエストエンドですごく活躍しているディレクターが私の仕事を見て、素敵な言葉をくれるっていうのは、「頑張って良かったな」となりますね。

8. 座右の銘は?

人事を尽くして天命を待つ。いつか誰かが見てくれるかもしれないと、コツコツ積み重ねていくこと。

舞台演出家は、演者みたいに舞台に立つ側じゃないから、オーディションとかもないし、自分の人脈や実力、レジュメで仕事を取っていかないといけない世界。今自分にできることを一生懸命やって、それが本当に自分の仕事であるべきならば必ず降ってくる。あまり結果に強く固執せずに、できることをやっている方が、メンタルの部分でも健康だな、というのを感じています。

インタビュー中、「休みは少ないかもしれない(笑)」と語った河村さん(photo: 本人提供)

それと昔から変わらないのは、目の前の仕事を大事にしていくということですね。やっぱり仕事が大きくなってくると、自分がコントロールできること以上のことが起こったり、自分の実力だけじゃなく、いろんな要素が絡み合って決まっていくんだなというのを経験してきたので。

9. 今の夢は?

いくつもあるのですが・・・。基本的にはブロードウェイを目指さないと、その場所には行けないと思っているから、やっぱりブロードウェイで活動し続けたいということですね。アーティストグリーンカードも取得したいし、ブロードウェイのレジデントディレクターといって、例えば「ライオンキング」や「ウィキッド」など、大きく長く続いている作品のショーをメンテナンスするポジションには就いてみたいですね。

描けないと、絶対に叶わない。描けるってことは、叶う要素があるので。

10. ニューヨークで一番お気に入りの時間の過ごし方を教えてください。

私は自転車で公園に行くのが好きで。公園でぼーっとするのが好きです(笑)。

Saki’s ニューヨークのおすすめスポット

ミッドタウンの中では、カルチャーコーヒーっていう場所が、すごく忙しい街の中でほっと一息つけるコーヒー屋さんで、ラテもすごくおいしいです。

河村早規(Saki Kawamura)
@saki.kawamura

取材・文・写真/ナガタミユ

                       
合わせて読みたい記事
RELATED POST