2026年5月8日 NEWS DAILY CONTENTS

なぜあなたはNYに? 日本人ニューヨーカーに聞く「10の質問」No.6 ビール醸造家 塩野裕樹

ニューヨーク初の日本人によるクラフトビールブランドSaltfields brewing(ソルトフィールズブリューウィング)」を手がける塩野裕樹さん。2024年春のブランド立ち上げから約1年、今ではトレンドに敏感なニューヨーカーが集う人気レストランやバー、クラブに加え、オーガニック食品を中心にそろえる高級スーパーマーケット、ホールフーズ(Whole Foods Market)での取り扱いも始まった。

原料に米や麹を使用するのは日本人が醸すビールならでは。ソルトフィールズの看板商品はドライな後味に仕上げたライスラガーだ。ニューヨークでさらなる広がりを見せるであろう同ブランドを立ち上げた塩野さんに、これまでの軌跡や、ビール作りを始めたきっかけなどついて、10の質問を通して話を聞いた。

Q1. 職業は?

ビールカンパニーをやっています。

ニューヨークでビールブランド「Saltfields brewing」を手がける塩野さん(photo: 本人提供)

Q2. ニューヨークに来たのはいつ?

10年前、語学留学で来ました。

Q3. 何をきっかけに?

日本では全然違う仕事をしていたのですが、最初は軽いノリで「ニューヨークに行ってみたいな〜」と思ったのがきっかけです。語学留学で来て、卒業後はレストランなどで働いていて、去年、妻の優美と一緒にビールカンパニーを立ち上げました。

妻の優美さん(左)、裕樹さん
(photo: 本人提供)

でもビールカンパニーを立ち上げたのも、ずっと計画していたわけではなく、以前はビールすら飲まなかったのですが、ビール好きの妻と出会い、この街のさまざまなクラフトビール店に連れて行ってもらう中で、「誰が作っているんだろう」「どうやって作っているんだろう」と興味を持ち始めました。

それでブルワリーに「働かせてください」と10カ所くらい回り、一つだけ受け入れてくれる場所が見つかり、そこでインターンという形でビールを学び始めました。

Saltfieldsのライスラガー(photo: 本人提供)

ビールのおいしさ、そしてそこにあるコミュニティの温かさにどんどん惹かれていき、「日本人だからこそできることがあるんじゃないか」と思うようになりました。日本が持つ文化や食材、またブランドのパッケージにも描かれている「寄席文字」など、そういった特有のカルチャーを発信していきたいと思い、立ち上がりました。

醸造過程(photo: 本人提供)

Q4. なぜニューヨーク?

ニューヨークを選んだ理由にそこまで深い意味はなかったのですが、ずっとアメリカへの憧れは漠然とありました。西海岸にも行ってみたいと思いつつ、忙しくしているうちに気がついたら10年経っていました(笑)

Q5. ニューヨークでの挑戦で、一番心が折れそうになった出来事は?

これまで何度かビザが切れそうになったタイミングで、「日本に帰らないといけないかもしれない」ということがあり、自分ではどうにもできない状況がつらかったですね。

実は今のビール会社も、前のビザが切れる1日前に申請したんです(笑)。ビザステータスにはこれまでも苦労してきましたが、「やるしかない」という感じで、ギリギリのところを手繰り寄せてきましたね。

Q6. またニューヨークで心を救われた経験や一番うれしかった出来事は?

ニューヨークの人たちは一見冷たく見えますが、大変なときには助けてくれます。今の醸造所と契約した際も、僕たちが送った「ビール会社をやりたいんだけど、ここのタンクを使わせてくれない?」という一通のインスタのDMから始まったんです。すると2日後くらいに「興味あるから、一度会おうよ!」と言ってくれて。

ブランドローンチまでの様子を気さくに話してくれた(photo: 本人提供)

本当にいろいろな人に支えられて始められたという感じですね。ニューヨークには助けてくれる人がたくさんいるので、頼ってみると案外、気持ちよく助けてくれたりします。

ブッシュウィックで日本酒バーKato Sake Worksを営む加藤忍さんと(photo: 本人提供)

Q7. 座右の銘は?

え〜!ないですね(笑)でも、夢中になっていることがある人はすごくいいなと思います。ニューヨークにいると、日本では関われないような人たちと仲良くなれたりして、この間も世界で活躍するアーティストとのコラボパッケージが実現しました。

そういう環境にいると、自然と「自分も何かできることがないかな?」と奮い立たされますね。

Q8. 今の夢は?

まだ自分の工場は持っていないので、4〜5年以内に醸造所を持てたらいいなと思っています。配達もまだ人には頼まずに、自分たちだけでやっているのですが、「もう少し自分たちでやれるかな?」と、日々試行錯誤をしている段階です。

雨の日も雪の日も。ビールを運んでいるのは妻、優美さん(photo: 本人提供)

自分たちで配達して取引先と毎日会話することで、相手からフィードバックをもらえたり、「こんなこと言ってたよ」と教えてもらえたりするので、ありがたいです。

パッケージデザインも全て日本人アーティストによるもの(photo: 本人提供)

Q9. 幼少期、夢を見ていた自分に声をかけるなら?

小さい頃はサッカー選手を目指していたので今ビールを作っているなんて思ってもいないと思います。今の僕自身でもびっくりしているくらいなので。

少年時代はサッカーに打ち込んでいた(photo: 本人提供)

Q10. ニューヨークで一番お気に入りの時間の過ごし方を教えてください。

ビールを飲んで、サウナに行くことですね。

Yuki’s ニューヨークのおすすめスポット

サウナAkari

本当に最高です。今はグリーンポイントとウィリアムズバーグにあって、今度チャイナタウンにもオープンするらしいので、楽しみにしています。

Saltfields brewing

@saltfieldsbrewing

6月12日には、ブランド創業1周年を記念したイベントがブルックリンのPublic Records(パブリックレコード)で開催予定。誰でも入場可能、詳細は近日中にインスタグラムで公開予定。

取材・文・写真/ナガタミユ

                       
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