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◆ 「良い人か? それだけ」
── それは日本人の「おもてなし精神」に近いですよね。
相手のニーズを汲み取る。 「おもてなし」という言葉は東京オリンピックで国際化しましたが、僕自身がすごくそれを意識しているわけではないんです。大事なのはオーセンティックであることだと思うんですよね。クライアントに対して、自分自身に対して、そして仲間に対して、常に “本物であること” が大切だと思っています。

だからもし、日本人としてのおもてなしがブランディングや看板の一つとして受け入れられて、「さすが日本人だね」とクライアントから言ってもらえるならうれしいですが、根本ではひたすら真面目に、楽しく、笑って仕事をしているというだけですね。そうでなければ、そもそも仕事は来ないと思うので。
── 確かに、おもてなしというのは自発的に意識するものではなく、外からそのサービスを説明した言葉にすぎないですね。
氷彫刻って本当に大変なんです。僕がいつも仲間に「Nothing is easy」と言っているように、氷彫刻は重いし、冷たいし、危ないし、滑る。しかし、だからこそ、お互いをリスペクトし合って、みんなが力を合わせることで初めて成り立つサービスだと思っています。

そして僕は、「次の人のことを考えろ」ということも、いつも仲間に伝えています。自分に与えられた仕事をやりながらも、次の人のためにどこまでできるか、を意識する。あえて少しでも次のステップをやってあげることで、次の人ができることの幅が広がり、好循環が生まれていくと思っています。
── 岡本さんはクライアントはもちろんですが、仲間である従業員の教育にもすごく力を入れていらっしゃいますね。スタジオにおじゃました瞬間、オフィスがとても温かい雰囲気なのを感じました。
仲間たちにもインスピレーションや誇りを持っていてほしいと思っています。それが僕にとってのモチベーションにもつながるし、どんなに大変なときでも笑顔で現場に入ってくる社長の姿勢は大切じゃないですか。リーダーとしての心構えは何か?ということを日々意識しています(笑)。

人間としての魅力というのは、どんなビジネスであっても根本だと思うし、人に対するリスペクトを持ちながら、どう謙虚にやっていけるかが大切だと思っています。
だからもし一緒に働く仲間を探すとすれば、まず最初に確認したいのは「良い人かどうか」です。 謙虚に人の意見を聞くことができるか? 思いやりはあるか? リスペクトできるか? 結局のところ、最後に一番大事になってくるのは人間性だと思うんです。
── 岡本さんが大事にしている言葉や、座右の銘はありますか?
オフィスにずっと飾っているポスターがあって、そこに書かれている「Work hard and be nice to people」という言葉です。これは父のモットーでもあって、家でもオフィスでもずっと大切にしている言葉ですね。謙虚に取り組むことの大切さを教えてくれるし、「まだまだ自分もこれからだ」という気持ちを忘れないためでもあるし。何をやってもうまくいかないときこそ、「謙虚さがないと道は開けない」と思っています。

言葉の壁があっても、世界に挑戦し道を切り拓いてきた父の姿をずっと見てきて学んだのは、たとえ誤解されることがあっても一生懸命取り組むことが必ず次のステップにつながるということです。そしてやっぱり、人とのつながりを大事にしながらとにかく「良い仕事をする」ということこそが、最も重要なのだと感じています。
◇
岡本さんに今後の夢を聞くと、「ニューヨークへの強い愛があるからこそ、新鮮さを保ちつつ、ニューヨークらしいプロジェクトをどんどんとやっていきたい」とのこと。そして「新しいメンバーを可愛がっていきたい」と笑顔を見せた。今後も間違いなく、ニューヨークの氷彫刻業界を引っ張っていく岡本スタジオ。地に足をつけながらも、独自の世界観で人々を魅了していく彼らの活動をこれからも見守っていきたい。
取材・文・一部写真/ナガタミユ
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