2026年6月25日 NEWS DAILY CONTENTS

NY連邦地裁、トランプ政権のトランス青少年「医療記録」取得を一時差し止め プライバシー保護が争点

マンハッタンの連邦地裁判事は6月24日、司法省が大陪審召喚状を使って患者の医療記録を入手することを一時的に差し止めた。対象はNYUランゴンヘルス、マウントサイナイ病院などの市内の医療機関で、18歳未満時に思春期ブロッカーやホルモン療法などを受けたトランスジェンダーの患者が含まれる。地元ニュースサイトのゴッサミストが同日、伝えた。

今回の訴訟は、全米の医療政策を占う重要な司法判断の一つとなる。写真はイメージ(photo: 本紙)

トランスジェンダーの市民グループが、NYUランゴンヘルスと司法省を相手取り起こした集団訴訟で、原告側は、トランプ政権による記録要求が、トランス当事者への攻撃やジェンダー肯定医療の縮小を狙う広範な動きの一部だと主張。司法省がNYUランゴンヘルスに求めた資料には、患者を特定できる情報、医療従事者の人事記録、診療費請求や医療コードに関する記録などが含まれていた。

仮差止命令は、少なくとも7月8日に予定されている次回の公判まで有効。NYUランゴンヘルスはコメントを控えた他、司法省もコメント要請に対し直ちには回答しなかった。

トランプ政権に屈したと批判

病院側は、仮に記録提出が必要になった場合は個人情報を伏せる方針を示していた。しかし判事は、AIなどの技術を使えば完全な匿名化を保証するのは難しいとの懸念に言及。マウントサイナイ病院前では、患者や家族が判決に一定の安堵を示す一方、将来的に記録が司法省に渡る可能性への不安は残ると語った。

この問題は、NYUランゴンヘルスやマウントサイナイ病院が今年、未成年へのジェンダー肯定医療を停止したことへの批判が高まる中で起きた。LGBTQ+支援団体の一部は、両病院が政権に屈したとして、28日に行われるNYCプライドマーチからの排除を求めている。

プライバシー保護のあり方問う判例に

アメリカでは、政府が令状や召喚状に基づき医療記録を求めること自体が直ちに違憲とされるわけではない。ただし、要求の範囲が広すぎる場合や、特定の集団を標的にした政治的目的が疑われる場合、憲法上の「プライバシー保護」や「不当な捜索の禁止」に反するとして裁判で争われる。

今回の裁判の争点は、トランスジェンダー医療だけではなく、「国がどこまで個人の医療情報にアクセスできるのか」といったプライバシー保護のあり方にある。専門家の間では、判決次第では今後、中絶や不妊治療、精神医療、ワクチン接種歴、薬物依存治療など他のセンシティブな医療分野でも同じような情報請求が行われた場合の「前例になる可能性がある」との見方も出ている。

                       
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