「ブロードウェイ」は知っている。でも、「オフ・ブロードウェイとの違いは?」と聞かれると、意外と答えられない人も多いのでは? そもそも“Broadway”という通りにある劇場のこと? オフ・ブロードウェイは、そこから少し離れているから“オフ”?

今回から始まる「ブロードウェイ入門ガイド」では、そんな“知っているようで知らない”舞台の豆知識をサクッと紹介。読み進めるうちに、目指せ“隠れブロードウェイ通”!

ブロードウェイとオフ・ブロードウェイ、その違いとは?(画像はイメージ)

“オン”と“オフ”、何が違う?

まず知っておきたいのが、「ブロードウェイ=Broadway通りにある劇場」ではないということ。

ブロードウェイは、世界で最も有名な通りのひとつでもある

大きな基準となるのは、劇場の規模。一般的に500席以上がブロードウェイ、100〜499席がオフ・ブロードウェイ、さらに99席以下になると「オフ・オフ・ブロードウェイ」と呼ばれている。

ブロードウェイには、2003年の開幕から今年で上演23年目を迎えた「ウィキッド(Wicked)」や、1997年の開幕から今年で上演29年目に突入した「ライオン・キング(The Lion King)」のような超ロングラン作品も。一方、オフ・ブロードウェイでは新作や期間限定公演も多く、数百席ほどの空間だからこそ、俳優をより近くに感じられるのも醍醐味だ。

そして、気になるのがお値段。2025〜26シーズンのブロードウェイの平均チケット価格は約131ドルで、人気作や良席ともなれば200〜300ドル超えも珍しくない。一方、オフ・ブロードウェイはブロードウェイより手頃な価格で楽しめる作品も多く、40ドル台から観られる公演もある。作品によっては、ディナーより安くニューヨークの舞台を楽しめることもある。

あの名作も、実は“オフ”から

そして、ここからが面白い。「オフ」と付いているからといって、決してブロードウェイの“二軍”ではない。

むしろ、新しい作品が生まれ、育ち、そこからブロードウェイへ進出するケースはこれまでにも数多くあった。

オフ・ブロードウェイからブロードウェイに進出した人気ミュージカル「ハミルトン(Hamilton)」

代表格は、世界的大ヒットとなった「ハミルトン(Hamilton)」。オフ・ブロードウェイのThe Public Theaterで幕を開け、その後ブロードウェイへ。「レント(RENT)」もNew York Theatre Workshopでの上演を経て、ブロードウェイを代表する作品へと羽ばたいた。

そして今もブロードウェイで上演が続く「ヘイディズタウン(Hadestown)」も、もともとはオフ・ブロードウェイ出身。ブロードウェイで大ヒットし、トニー賞6部門を受賞、2026年には日本版も上演された「ディア・エヴァン・ハンセン(Dear Evan Hansen)」も同じ道をたどった。

まだまだある。オフからブロードウェイへ進み、あの「ウィキッド」を抑えてトニー賞ミュージカル作品賞に輝いた「アベニューQ(Avenue Q)」。同じく作品賞を含む5部門を受賞した「ファン・ホーム(Fun Home)」、トニー賞10部門を制した「バンズ・ヴィジット(The Band’s Visit)」も“オフ出身”だ。

こうして並べてみると、オフ・ブロードウェイは、未来の名作に一足早く出会える場所でもある。数年後、「あの作品、オフの頃に観たよ」なんて言えたら、かなりの“ブロードウェイ通”かも。

そんな“オフ”で、日本の漫画が新たな挑戦

そしてこの秋、数々の作品が大きく羽ばたいてきたオフ・ブロードウェイに、日本生まれの新たな一作が加わる。

漫画家・安野モヨコの代表作の一つ「鼻下長紳士回顧録」を原作とした、新作ミュージカル「MEMOIRS OF AMOROUS GENTLEMEN」。9月25日からプレビュー公演がスタートする。

この秋の上演される新作オフ・ブロードウェイ・ミュージカル「MEMOIRS OF AMOROUS GENTLEMEN」の劇場イメージ

今回のために集結したのは、トニー賞受賞歴を持つ演出・振付家ロブ・アシュフォードをはじめ、ブロードウェイの第一線で活躍するクリエイターたち。日本の原作漫画をもとに、脚本・音楽・演出を一から作り上げた“英語オリジナル”のミュージカルとしてニューヨークで誕生。日本の漫画を原作とする英語オリジナル・ミュージカルが、オフ・ブロードウェイで数カ月規模の長期公演を行うのは史上初の試みとなる。

「MEMOIRS OF AMOROUS GENTLEMEN」の公演キービジュアル

舞台は20世紀初頭のパリ。娼館「ナイト・エッグ」で働くコレットが、そこを訪れる客たちの欲望や告白、悲しみに触れながら、自らの愛や生き方を見つめていく物語だ。

漫画やアニメなど、日本生まれのカルチャーが世界中で愛される今。その新たな行き先は、エンタータインメントの最高峰とも言われる“ブロードウェイ”なのかもしれない。

この秋始まる、日本の漫画の“史上初”の挑戦。その第一歩を、劇場で目撃してみては。

MEMOIRS OF AMOROUS GENTLEMEN

期間
10月15日(木)〜2027年1月3日(日)
※プレビューは9月25日(金)から
場所
The Night Egg
(530 W. 27th St.)
チケット
49ドル〜
公式Webサイト
https://www.memoirsmusical.com/