雪がちらつく寒い日も目立つようになった12月のある日、地元が同じの友達、ゆかちゃんが日本から来るというので、会うことになった。彼女も学生のときに、シアトルに留学していたから、海外の友達も多くて、4泊いる間の全てをケアする必要はないようだった。
「せっかくの年末だから、アメリカのクリスマスを堪能したくって。日本から買ってきて欲しいものある?」とフェイスブックのメッセンジャーで聞かれたので、私は今ならアメリカで買えるけど、大好きな茅の舎の出汁をリクエストした。
会うことになった日は、急に冷え込んだ日だった。34丁目ペンステーション近くのホテルだというから、ロビーで落ち合うことにした。実華子、元気だった? 出汁持ってきたよ、今渡していいかな、とパックを差し出した。私はたっぷり礼を言った。「今日、寒いよ」と私が言うと、ゆかちゃんは「マジで?」と露骨に嫌そうな顔をしたが、そのために厚着してきたといって、マフラーを締め直した。
観光がてら、歩いてロックフェラーセンターまで行くことにした。その間、ゆかちゃんは、とにかくNY生活に興味津々で、特にマイナス面を心配してきた。
「トランプになっちゃってやばくない?どうするの」「もっともっと寒くなるんでしょ?よく生活できるね」「治安っていまだに悪いんでしょ。危なくない?」「物価と家賃、めっちゃ高いんでしょ。暮らしていくの無理じゃない?」
日本に住む人たちは雑誌やオンラインニュースで拾ってくるのか、NYのいろんな情報を知っている。どれもNYの特徴だけど、どれも正しく表現したとは言えない。NYというのは、一言では説明できないのだ。それにしても、自分の“付属物”をネガティブにしか表現されないと、こんなにも憂鬱になるものなんだな。私も気を付けよう。
フィフスに近づくと、たくさんの観光客で道が埋まっているのが分かった。そして、サックス・フィフス・アベニューのクリスマスイルミネーションに興奮しながら、クリスマスツリーを見た。「すごーい!!」ゆかちゃんが歓喜する。
私、ニューヨークが好き。
自然とそう口に出していた。それを聞いて、ゆかちゃんが、「実華子がそう思っているなら、安心したよ」と笑顔で言った。私も、やっぱりNYのファンなのだ。厳しいことや悲しいこと、ジェットコースターのような生活が待っていても、私は来年も、ここで暮らしていく。
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ニューヨーク名物
ロックフェラーのクリスマスツリー
45 Rockfeller Plaza
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