纒向遺跡が邪馬台国の首都と考えるのが妥当
では、ここからは「邪馬台国」と「古墳時代」について見ていきたい。
歴史の教科書では、女王「卑弥呼」が統治する「邪馬台国」は、弥生時代の最後に登場した連合王国で、近畿説と北九州説が併記されている。
高校の歴史教科書『詳説日本史』(山川出版社、2023年)では、次のように記述されている。
《近畿説をとれば、すでに2世紀前半には近畿中央部から九州北部におよぶ広域の政治連合が成立していたことになり、のちに成立するヤマト政権につながることになる。
一方、九州説をとれば、邪馬台国連合は九州北部を中心とする比較的小範囲のもので、ヤマト政権はそれとは別に東方で形成され、九州の邪馬台国連合を統合したか、あるいは邪馬台国の勢力が東遷してヤマト政権を形成したということになる」
この論争はいまも果てしなく続いているが、奈良の纒向遺跡で2009年に大型建物跡が見つかったこと、全国各地の土器などの出土品があることなどから、ここが邪馬台国であるという説を私はとっている。
なにしろ、纒向遺跡の建造物は佐賀県の吉野ケ里遺跡で最も大きな「主祭殿」の約1.5倍もあり、邪馬台国という連合王国の首都としては申し分がない。また、纒向遺跡の南側部分にある箸墓古墳は、その後のヤマト王権による「古墳時代」を決定付ける最大級の前方後円墳だ。
ヤマト王権と百済は同じ国ではないのか
この邪馬台国がその後のヤマト王権になったのか、それとも他の勢力が取って代わってヤマト王権を確立したのか、それはわからない。ただ、わからなくとも、歴史的にはつながる。
「日本書紀」に邪馬台国の記述がないのは、ヤマト王権が邪馬台国にとって代わったからだろう。
いずれにせよ、この時代には、朝鮮半島経由で絶え間なく渡来人が移住してきた。中国は、「魏」「呉」「蜀」のの「三国志」の時代であり、朝鮮半島は、「高句麗」「百済」「新羅」、3国の勢力争いが激化していた。ヤマト王権は百済と同盟を結び、高句麗に対抗。百済でつくられたされる鉄製の剣、「七支刀」がその証だ。
ヤマト王権と百済は同じ国と考えてもいいだろう。
百済には鉄がある。高い技術がある。これがなければヤマト王権の権力は成立しない。よって、百済からは多くの人間が日本にやって来て、その後の日本をつくっていった。
天皇家のルーツは「渡来人」(「古墳人」)
このように見てくれば、天皇家のルーツは、渡来人、それも古墳時代にやって来た古墳人と言えるだろう。ほとんどの日本人のルーツがそうなのだから、天皇家がそうでないわけがない。
『宋書、倭国伝』で記録されたヤマト王権の「倭の五王」の讃・珍・済・興・武も、渡来人かその子孫だろう。それぞれ、讃:応神天皇、珍:仁徳天皇、済:允恭天皇、興:安康天皇、武:雄略天皇とされるが、みな渡来人かその子孫だから、その後に渡日した渡来人も、日本で主要な地位と権力を手に入れた。
聖徳太子、そして歴代の天皇、飛鳥時代の蘇我氏、物部氏も同じだ。聖徳太子が制定した『十七条憲法』は、漢字(漢文体)で書かれている。『日本書紀』も漢字で書かれている。つまり、当時の政治の中枢にいた人々は、漢字の読み書きができたわけで、渡来人か渡来人がルーツでなければ、こうはいかない。
天皇陛下(現・上皇陛下)が、サッカー日韓Wカップの際、2001年12月の誕生日会見で、「桓武天皇の母親が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」と発言されたことは、記憶に新しい。
考古学的な調査・発掘を許可しない宮内庁
日本人のルーツ、古代史の空白を埋めるのは、現代の考古学の最先端技術を駆使した解析・研究が必至である。
しかし、宮内庁は、天皇陵とされる全国で約900の陵墓を管理し、これらの本格的な発掘を認めない。文化財保護法の適用外とされ、宮内庁によって、古墳への立ち入りや、公開、学術調査が厳しく制限されている。
纏向遺跡の箸墓古墳を、宮内庁は、第7代孝霊天皇の皇女倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)の墓としているが、考古学的な調査・発掘を許可しない。
2013年2月に、研究者16人による調査が行われたが、たったの1時間半のおざなり調査だった。
宮内庁が天皇陵などを開示しないのは、天皇家が朝鮮半島とつながった歴史を持つことが、一般国民に知られるのを恐れているからだという。とんでもない、はき違いである。
「グローバル化」と「混血」こそが人類史
古墳時代から続く渡来人の移住は、飛鳥時代、奈良時代も続いた。規模は小さくなったが、その文化、伝統、法、価値観は、日本独自の文化形成の礎となった。
ユーラシア大陸の東の端にあると日本と、西の端にある英国は似たようなところがある。それは、有史以来、大陸から人々が多く移住し、混血を繰り返して、国民、国家が形成されたことだ。
日本は、私たちの想像をはるかに超えた諸民族の混血の国である。古代史の観点から言える「ネイティブ日本人」は縄文人だが、彼らは平安時代の初めには蝦夷となって東北地方に追いやられた。いまでは、縄文の色を多少なりとも残すのは、北海道のアイヌ民族と沖縄県人だけである。
結局、人間は常に動いて混ざり合ってきた。「グローバル化」と「混血」こそが人類史なのである。そう思うと、現在、世界各地で起こっている移民排斥、ナショナリズム、自国第一主義、排外主義などは、人間の本性に反するものである。戦乱、分断、排斥など、なぜするのか?
私たちは、原点に立ち返って考え直さなければいけない。(了)
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山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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