ニューヨークの春を彩るジャパンパレードが、今年で第5回を迎える。日米友好、日系コミュニティーとの連帯、そしてニューヨーク市民への感謝。初回から掲げてきた3つの柱は変わらない。だが、節目の年を迎えた今年、幹事会社を中心とした事務局が見据えているのは、その “次” だ。

「第5回という節目でもありますし、これまで築いてきた基盤を生かしながら、新たなステージに進みたい。5月の風物詩として定着できるようにしていきたい」。彼らが強調したのは「定着」という言葉だった。
第5回ジャパンパレードでチェアマンを務める、KDDIアメリカの社長兼CEOの大石聡さん、実行委員長を務める副社長の渡邊貴一さんにインタビューした。
まだまだ知られていない「日本のお祭り」
「認知度については、まだまだ課題があります。日本人の中でも知らない人がいますし、日本人以外への浸透も十分とは言えません。基盤はできつつありますが、それを持続的に成長させるという点では、まだ十分ではないと感じています」

当日はニューヨーク在住の日本人のみならず、日本からの出展者やそのサポーター、日本好きのニューヨーカーが駆けつけ、確かに盛り上がる。沿道は笑顔であふれ、太鼓の音が響き、フードブースには列ができる。しかし、その熱が翌日以降も続いているかと問われれば、正直まだ弱い。

ニューヨークには、セントパトリックス・デー・パレードやプエルトリカン・デー・パレード、ウエストインディアン・デー・パレードなど、数十年単位で続く大規模な行事がある。観客動員は数十万人規模、ものによっては100万人規模ともいわれる。企業スポンサーも固定化され、学校や地域団体、ローカルメディアとの結び付きも強い。それらと比べれば、ジャパンパレードはまだ発展途上だ。
幹事会社が毎年変わる体制の中で、運営の経緯や蓄積されたノウハウをいかに次につないでいくかが、継続的な課題となっている側面もある。だからこそ今年、事務局ではその「継承」にも重きを置いている。単年の成功ではなく、積み上げていく構造へ。持続可能でありながらも“爆発力”のある仕掛けを模索していく。
ポップカルチャー発信に注力、今年のゲストは?
今年のジャパンパレードには、舞台「呪術廻戦」のキャストが特別ゲストとして来米する予定だ。「日本の伝統芸能をベースにしたパフォーマンス集団・べんてんやに加えて、舞台『呪術廻戦』のアクターさんが来米する予定です。なお、同作の舞台版の日本国外でのお披露目は初めてと聞いています」

昨年の「進撃の巨人」に続くのは「呪術廻戦」。世界中、特にアメリカでの支持が高い作品であり、ファンのパレード参加にも期待がかかる。
アニメは、もはや一部のファンだけの文化ではない。ニューヨークのKinokuniyaをはじめとする書店には漫画コーナーが並び、年に2回開催される大型アニメイベントには、コスプレ姿の若者たちが集う。

その熱量を、パレードにつなげる。今年は、これまで十分にリーチできていなかった若い世代の集客を強化するため、「ポップカルチャーの発信」に重きを置いた。「そのためには、ローカルの特に若い世代をきちんと巻き込んでいく必要があると考えました」

きっかけは、アニメ NYC(Anime NYC)への視察だった。「会場でニューヨーカーが日本文化に敏感に反応している姿を見て、衝撃を受けました。これはテーマとして使わないわけにはいかないと思いました」
アニメイベントで出会った、今年の「進行役」
そして、同イベントで出会ったのが、日本のアーティストのアッキー・ブライト(Acky Bright)さんだ。「ライブドローイングをしているすごい人がいて、“なんだこれは” と驚きました。日本人のようだったので声をかけて、そこからつながりができました」

日本出身の漫画アーティストであるアッキーさんは、繊細な線と躍動感あるキャラクター描写で知られ、その作風は “かわかっこいい(kawakakkoii)” と評される。ポップで親しみやすいが、どこかエッジがある。
最大の特徴はライブドローイングだ。下書きをほとんど行わず、その場の空気を取り込みながら即興で描き上げる。制作過程そのものがパフォーマンスとなり、観客との距離が一気に縮まる。
2024年から2025年にかけてジャパン・ソサエティーで個展「Acky Bright: Studio Infinity」を開催。アニメ NYC期間中のプレビューを経て本展へと発展した。マクドナルドやネットフリックスなど、グローバル企業とのコラボ実績も持つ。
「アメリカと日本をつなぐという考え方にも共鳴し、今年のジャパンパレードの象徴として、グランドマーシャル(名誉行進長)をお願いすることになりました」
初の公式マスコット誕生、気になる名前は…
そして、その出会いから生まれたのが、初の公式マスコットだ。「今年限りではなく、今後も継続して使える存在にしたい。ジャパンパレードといえばこのマスコット、と認知してもらえる象徴的な存在として育てていきたい」
モチーフはリス。「ジャパンパレードの舞台のすぐ側にある、セントラルパークを起点にしたつながりを大事にしたい」

Tシャツとジーンズというニューヨーカーらしい装いに、日本のハッピを重ねた。ニューヨークと日本を同時にまとった存在だ。
「かわいいだけでなく、リーダー的な、けん引していく存在にしたい」毎年思い出される “顔” として、まず今年はマスコット誕生を記念したオリジナルグッズの制作、販売も行っていき、将来的には日本関連イベントへの登壇なども視野に入れているという。
そしてなんとこのキャラクターはまだ名前がなく、よりジャパンパレードに人々が参加できる形として、キャラクター名を公募している。誰でもアイデアを提出することができる(応募方法は記事の最後に)。
キャラクター名の募集を皮切りに、5月9日までさまざまな仕掛けを考えているといい、「3〜4月の2カ月間を重要な時期と位置付けています。ジャパンパレードが何のためのイベントなのか、また参加団体の皆様とのコラボ投稿なども公式SNSで発信し、5月9日を楽しみにしてもらえる仕掛けを考えています」とのこと。
「定着させて、一つのプラットフォームに」
「定着させて、一つのプラットフォームのような形にしていきたい。日本文化を知ってもらうだけでなく、文化団体や企業、個人がつながる場所として活用してもらえる場にしたい」

ニューヨークで日本文化を発信する場として、毎年自然に思い出される存在になれるのかどうか。第5回は、その方向性を示す年になる。
何度も繰り返された「1日限りのパレードで終わらせない」。その言葉が現実の形になるかどうかは、今年の取り組みがどこまで積み上がるかにかかっている。
取材・文・一部写真/ナガタミユ
マスコットネーミングコンテスト
ジャパンパレードでは、公式マスコットの名称を一般公募する「マスコットネーミングコンテスト」を実施している。応募期間は2026年2月27日正午から3月27日23時59分まで。アメリカ在住者が参加可能。最優秀賞にはAnime NYC 2026の4日間パス(ペア)の他、デザイナーのアッキー・ブライトさんによるサイン&イラスト、公式マスコットグッズが贈られる。応募方法や詳細は公式サイトを参照。
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