2026年4月3日 NEWS DAILY CONTENTS

なぜあなたはNYに? 日本人ニューヨーカーに聞く「10の質問」No.1 ダンサー 石川智子

小柄な身体からあふれ出るエネルギッシュなダンスと、突き抜けた感性。これまでジャネット・ジャクソンやマドンナ、カーディ・B、BTSなど、誰もが知る大物アーティストから高い評価を得てきたダンサーの石川智子さんは、エンタテインメントの本場ニューヨークで、第一線を走り続けている。

「ニューヨークしか選択肢になかった」そう語る彼女は、今年でこの街に住んで14年目になる。そもそもなぜニューヨークに? これまでの経験を振り返ったとき、支えてくれたものは? 10の質問から探っていく。

Q1. 職業は?

ダンサーです。

Q2. ニューヨークに来たのはいつ?

2012年です。今年で14年目になるので、4年前からニューヨーカーということになりますね(この街は10年住んでようやく認められると言われているので)。

講師としてダンスレッスンを行うペリ・ダンス・センター(Peri Dance Center)で

Q3. 何をきっかけに?

小さい頃からずっとダンスをしていたのですが、ダンスから少し離れていた時期があって。でも母に「今やらないなら、もう助けないしお金も出さない」と言われて。ずっと応援してくれていた母親がそこまで言うなら・・・と、ニューヨークに行くことを決めました。当時22歳でした。

大きなカバンを抱えて街を移動する石川さん。「これが my life なのでね」と笑顔を見せる

ちなみに母はダンサーではないのですが、歌舞伎や日本舞踊に関わっている家系だったので、見る目はあったんでしょうね。”先見の明” ってやつです。ダンスを続けていたのも母の存在が大きかったので、仕事を掴むのも彼女の喜ぶ顔が見たい一心で、がむしゃらにやってきました。

ニューヨークに来たばかりの頃の石川さん(photo: 本人提供)

Q4. なぜニューヨークだったのか?

子どもの頃から、勝手にニューヨークって決めていたんです。子どもって、行ったことも見たこともない街を想像するじゃないですか。でもその想像の世界は、LAみたいに明るくてポカポカした街じゃなくて、ビルがたくさん並んでいて少し薄暗い街で(笑)。

実際に来てみたら、当時思い描いていた通りの街だったんです。だからずっと「ここに来る」って分かっていたんでしょうね。ニューヨークという選択肢しかなかったです。

「ストリートの界隈になじむために頑張ってました。ずっと黒人になろうとしてた。そうじゃないと負けちゃうから」

Q5. ニューヨークでの挑戦で、いちばん心が折れそうになった出来事は?

ありすぎます(笑)。でもやっぱり、ビザがない時に大きな仕事を掴んだことですね。有名なアーティストのツアーに呼んでもらえたのに、ビザがないから仕事を受けられないという現実を突きつけられた瞬間は本当に心が折れました。ビザがないとアメリカ人と同じ土俵で戦えないというのが分かって、それが一番きつかったです。

生徒よりもパワフルなエネルギーでレッスンに臨む石川さん

ちなみにそのアーティストはミッシー・エリオットという世界的に有名なラッパーなのですが、ビザを取る前に受けたオーディションに受かって、当時は「輸入品」のように特別に参加させてもらえたんです。その後、正式にツアーに呼んでもらったけれど・・・という。でもその時の苦い経験が、ビザを取るきっかけになりました。

Q6. ニューヨークで心を救われた経験や、一番うれしかった出来事は?

あんまり救われてないかも(笑)。というのは冗談で、ニューヨークって、いつどこにチャンスが転がっているか分からない街なんです。一歩外に出れば人生が変わることもある。そういう結果につながったときは「救われたな」と思いますね。

ジャネット・ジャクソンのコンサートではバックダンサーとして踊った(photo: 本人提供)

「今日は休みだし疲れたし、家にいようかな」と思っても、自分のお尻を叩いて一歩外に出てみる。それが大事だと思っています。

あとは、ダンサー以外の友達やコミュニティーにもすごく救われてきました。悩みは基本的にダンスのことなので、それをダンサー仲間に話すとライバル同士だからぶつかることもあるんです。そんなときにダンサーじゃない人たちといるとすごく助けられます。それは今でも変わってないですね。

プライベートでの石川さん(photo: 本人提供)

ダンサーの友達しかいない人と、他の分野の友達がいる人では、視野の広さが全然違う。アーティストやディレクターなど、いろんな分野の人と話すと、それぞれ違う壁や悩みを持っていて。それを聞けるのがありがたいですね。むしろ今はダンス以外の友達としか遊ばないくらいです(笑)。

Q7. 座右の銘は?

ベタかもしれないですが、「継続は力なり」です。どれだけ成功していても、続けられる人が上に行くと思うんです。何事においても。信念ですね、信じる力。

「私がニューヨークに来た当時は、ヒップホップで仕事をしている日本人はあまりいなかったかもしれないですね」

Q8. 今の夢は?

リアルな話で言うと、子どもが欲しいし、結婚もしたいです。これまではそういったことを全部後回しにしてきたので。今年で37歳になるので、そろそろ自分も母にしてもらったように、子どもに何かを与えたいと考えるフェーズに入ってきました。

あとは、ずっとダンスに関わる仕事を続けていきたい。やっぱり、やり続けることですね。

「いろんな人に『なんでそんなにフットーワーク軽いの?』って言われ続けてきましたが、常に自分との戦いで、外に出るのが嫌なときももちろんありましたよ」

Q9. 幼少期の自分に声をかけるなら?

「そのまま突き進んでいいよ」ですね。道を外れたこともあったし、ダンスをやめようと思ったこともあったけど、今こうして続けられているので。あの頃の自分に「自分を信じて突き進んでほしい」と伝えたいです。遠回りも必要だったので。

幼い頃の石川さん(photo: 本人提供)

Q10. ニューヨークで一番お気に入りの時間の過ごし方は?

昔はクラブやパーティーが好きだったけど、今は暖かい日に芝生でワインを飲むことですね。あとはおいしいカフェに行ってコーヒーを飲んで、スイーツを食べることです。最近は電車よりフェリーに乗るのにハマっていて、マンハッタンからブルックリンに行ったり、クイーンズのビーチに行ったりしています。

Tomo’s ニューヨークのおすすめスポット

暖かい日に乗るフェリー
「最近は電車よりもフェリーに乗ることにハマっています。マンハッタンからブルックリンに行ったり、クイーンズのビーチに行ったりしています」

石川智子(Tomoko Ishikawa)

Instagram
@tomo6kaijohn

取材・文・写真/ナガタミユ

                       
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