成長する子は、特別なことではなく「続けること」を知っています
4月は、新しい生活のリズムが少しずつ見えてくる時期です。子どもの勉強についても、思ったように進まないと「やり方を変えた方が良いのでは」「別の方法を試したほうが良いのでは」と感じることがあるかもしれません。けれども、子どもの成長において本当に大切なのは、うまくいかないたびに何かを変えることではなく、腰を据えて続けることです。今回は、学びの土台を支える「続ける力」について考えてみたいと思います。
子どもの勉強について考えるとき、私たちはつい「何をやるか」に目が向きがちです。どんな教材が良いのか、どんな勉強法が合うのか、どれくらいの量をこなせば良いのか。もちろんそれらも大切ですが、実際に子どもたちの成長を見ていると、それ以上に大きな差になるものがあります。それが、続ける力です。
とりわけ、勉強が思うように進まないときほど大人も子どもも不安になります。結果が出ない、やる気が見えない、取り組みが安定しない。そうした様子を見ると、「今のやり方が合っていないのではないか」「教材を変えた方が良いのではないか」と考えたくなるものです。もちろん必要な見直しはあります。ただ、うまくいかないたびに方法を変えていては、せっかく芽が出かけていたものまで途中で止まってしまうことがあります。
成長する子は、最初から特別にできるわけではありません。むしろ、初めのうちは目立たなくても、毎日少しずつ積み重ねられる子が、後(あと)になって大きく伸びていきます。反対に、一度にたくさん頑張れても、それが続かなければ、なかなか本当の力にはなりません。
これは勉強に限ったことではありません。スポーツでも楽器でも上達するためにはある程度の時間が必要です。そしてその時間は特別な一日ではなく、何でもない一日の積み重ねによって作られます。勉強も同じです。「今日は少しだけでも机に向かう」「宿題をきちんと終える」「分からなかったところをそのままにしない」。そうした小さな行動を続けられるかどうかが、成長を大きく左右します。
これまで多くの子どもたちを見てきて、また私自身も仕事をする中で、上司から言われた言葉を思い出すことがあります。 「当たり前のことを、当たり前のようにやる」一見するとごく普通の言葉ですが、実はこれがいちばん難しいのかもしれません。勉強でも、毎日机に向かうこと、宿題をきちんと仕上げること、直しを後回しにしないこと。どれも特別なことではありません。しかし、そうした“当たり前”を積み重ねられる子ほど、後になって大きく伸びていきます。
ただ、ここで大切なのは「続けることは決して簡単ではない」ということです。むしろ、“毎日少しずつ”がいちばん難しいのかもしれません。何か新しいことを始めるとき、人は最初はやる気を持てます。しかし、その気持ちを何日も何週間も保ち続けるのは容易ではありません。気分が乗らない日もあれば、疲れている日もあります。結果がすぐに見えないと、「やっても意味があるのだろうか」と感じることもあります。
よく知られた言葉に「行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから」という一節があります。子どもの成長もまた、特別な一日によって決まるのではなく、日々の行動の積み重ねの中で形作られていきます。毎日の小さな行動は、その場では目立たなくても、やがてその子の習慣になり、学ぶ姿勢になり、将来の大きな力へとつながっていきます。
以前ある生徒が、毎日ほんの10分だけでも必ず復習をすると決めて取り組んでいたことがありました。最初から長時間勉強していたわけではありません。けれども、短い時間でも「毎日やる」と決めて続けたことで、少しずつ理解が定着し、自信につながっていきました。特別な才能があったからではなく、特別な一日を作ったからでもありません。何でもない日を何でもないまま終わらせなかったことが、その子の力になったのだと思います。
家庭でできることも実はとてもシンプルです。大切なのは、「もっとやりなさい」と量を求めることより、「今日も続けられたね」と継続そのものを認めることです。子どもは、目に見える成果より先に、まず日々の行動を積み重ねています。その積み重ねを大人が見てくれていると感じられることが、次の日の一歩につながります。
また、継続のためには、ほめることもとても大切です。ただし、「頭がいいね」「すごいね」と結果だけをほめるのではなく、「今日も机に向かえたね」「昨日より早く始められたね」と、続けている行動そのものを認めてあげることが、子どもの力になります。そうした声がけは「またやってみよう」という気持ちを育てます。継続するためには気合いや根性だけではなく、続けたくなる気持ち=モチベーションも必要です。家庭での前向きな声がけは、その大きな支えになります。
また、続けるためには最初から高い目標を設定しすぎないことも大切です。毎日1時間勉強しようと思っても続かないのなら、まずは10分でも良いのです。大事なのは、「できる形」で始めることです。続ける習慣は、根性で作るものではなく、無理のない形を見つけながら育てていくものだからです。
子どもの成長は、派手な変化として現れるとは限りません。うまくいかないときほど、何かを大きく変えたくなることがあります。けれども、本当に力が付いていくのは、そういうときにこそ腰を据えて、目の前の当たり前を続けた先です。特別な才能よりも、特別な方法よりも、まずは目の前の「当たり前」を積み重ねていくこと。
成長する子は、当たり前のことを当たり前のように続けることを知っています。
早稲田アカデミー ニューヨーク校
https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html
早稲田アカデミーNY校 川村宏一(かわむら こういち)

早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2002年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門にて英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月から現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。お問い合わせは(メール:newyork@waseda-academy.com)まで。
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