人情の街ニューヨークを等身大でポップに描く漫画が人気のイラストレーター、ヤマモトレミさん。キラキラしながらも、かなりの覚悟や努力が必要なニューヨークでの生活。また、そんな日々の中で日常茶飯事のように起こるユニークな「人間模様」を、独自の視点とユーモアで表現する彼女の作品には、日本人はもちろん、アメリカ人のファンも多い。

今回はそんなヤマモトさんに、ニューヨークでイラストレーターとしてやっていくことを決意したきっかけや、またアーティストでありながらも日中は寿司職人として活躍する、ちょっと珍しいライフバランスなどについて話を聞いた。9年目となるニューヨークでの道のりを、10の質問で探っていく。
Q1.職業は?
漫画家、イラストレーター兼、寿司職人見習いです。
Q2.ニューヨークに来たのはいつ?
2017年の春。今年9年目になります。

Q3.何をきっかけに?
最初は日本で働いていた会社の駐在としてニューヨークにやって来ました。日本食の輸出業をやっている会社で、ニューヨークに来てからは日本食を販売するスーパーの社員として働いていました。
というのも、昔から漫画を描くこと読むことがすごく好きだったのですが、あるところで「漫画家にはなれない」と、クリエイティブへの道は諦め、普通の仕事に就こうと会社員として日本で働いていました。でもニューヨークに来てからスーパーで働き始めて、そこに来るお客さんに変わった人や面白い人が多いことに気が付き、そういう人たちのことを漫画にしてインスタグラムに投稿を始めたんです。そうすると、それが跳ね始めて。

そこからどんどん仕事が入ってくるようになり、最初は少額のものだったのが、どんどんスケールが大きくなっていって・・・。そういったオファーを断って普通の仕事に進むのか? 描くことを本業にしてやっていきたいのか?って考えたら、やっぱり絵でやっていきたいって気持ちのほうが大きかったので、仕事を辞めました。

Q4.ではニューヨークは、流れで来たと?
はい、強制的に(笑)。
でもニューヨークという場所は来てみてから大好きになりました。日本はすごく便利だし、いろんなものが整っていて、欲しいと思ったら全部手が届くところにあるような感じがありますが、こっちに住んでいたら理不尽なことやピンチに陥ることも普通に起きるけど、その戻りも多いというか。

例えば、ものすごく好きな人に普通に会えたりとか、友達になれちゃったりとか。ニューヨークはそういうエネルギーの場所なのかなって思いますね。
Q5.ニューヨークでの挑戦で、一番心が折れそうになった出来事は?
本を出すことが長年の夢で、それが2022年に叶ったのですが、ずっと抱いていた理想と現実との違いに自分が恥ずかしくなってしまったということがありました。要はそんなに売れなかったんです。
本が出てすごくうれしくて、みんなにお祝いしてもらったり、声をかけてもらったり。そこから周りの人に私のことを紹介してもらう際、「この人、本とか出していてすごいんだよ」って言ってもらうことが増えたのですが、そう言ってもらうたびに、「やめてください」と卑屈になってしまっていて、その時期はしんどかったですね。「このままやっててもいいのかな」とも悩んだこともありました。
作家の友達はみんな当たり前のように本を出していて、当然のように次の本が出ていたりしている。当時の状況では、自分の性格的に「自分はアーティストとして一人前じゃない」って思ってしまっていたんです。
Q6.では逆に、ニューヨークで心を救われた経験や一番うれしかった出来事は?
初めての展示をニューヨークでした時に、たくさんの人が来てくれたことですかね。自分の目で初めて自分の作品を見てくれている人を確認できて、中には「読んで気持ちが楽になった」と泣いちゃう人とかいたり。それが一人じゃなくて何人もいたり、他にも海外からわざわざ会いに来てくれた人もいました。普段ネットで作品を発表していた分、自分が描いているものが人に影響を与えるというのを実感できたときは、やっぱり感動しましたね。

その直接的な体験で言うと、私はイベントなどで似顔絵を描くこともやっていて。何年か前にブッシュウィックのKato Sake Works(カトウ・サケ・ワークス)という日本酒バー兼醸造所で初めてやらせてもらったのですが、その時に来てくれた人が数年経ってから、「バースデーパーティーで似顔絵を描いてほしい」と連絡をしてきてくれて。
「あなたが描いてくれた絵はずっと冷蔵庫に貼っていて、3回くらい引っ越したけど、ずっと大事にしていたの」って。これはつい先日の出来事で、すごくうれしかったですね。

Q7.座右の銘は
やらない後悔より、やって後悔。
Q8.今の夢は?
可愛げのないことにはなってしまうんですけど、一生ニューヨークで食いっぱぐれないことですね(笑)。
Q9.幼少期、夢を見ていた自分に声をかけるなら?
いろんな人に漫画を見てもらえるようになっているから、「描き続けて」かな。

Q10.ニューヨークで一番お気に入りの時間の過ごし方を教えてください
プロスペクトパークに行くことですね。メンタルが落ちたときはとりあえず行って、犬とか見て、帰る頃には気持ちがすっきりしています。
Remi’s ニューヨークのおすすめスポット
Forbidden planet
「たくさんありますが、今頭に浮かんだのはForbidden planetという漫画屋さん。イーストビレッジにあって、ニューヨークでも一番くらいに古いコミックストアです。私のZINEも置いてもらっています」
ヤマモトレミ(Yamamoto Remi)
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