Ramen-Ya

 2013年、ウエストビレッジでいち早くラーメン店をオープンしたRamen-Yaが提供するのは、料理だけにとどまらない。日本、そしてふるさとへの愛情を持って作り上げた、心のこもった料理を振る舞うのはもちろんのこと、そのルーツや伝統をも発信する
アンテナショップとしても注目されている。

NYから日本の伝統工芸を発信

 
 さまざまなレストランがひしめくウエストビレッジで非日系人の経営する日本食店が増え始めた中、日本人が作る本物の日本食をリーズナブルに提供したいと行き着いたのが、ブームの加熱するラーメン店であった。ニューヨークで長きにわたり日本食レストラン業界に身を置いてきた日本人シェフが完成させた、芯のブレないラーメンの味は上々の評判。Ramen-Yaは連日多くの人が訪れる、文字通り〝行列のできる店〟としてニューヨーカーに浸透してきている。
 そんな注目のレストランで今月3~6日の間、JAPAN AUTHENTIC CRAFT WEEK(www.tochigicraft.jp)と題した栃木県の伝統工芸をPRするイベントが開かれ、同県を代表する陶器であり芸術品としての評価も高い、「益子焼」の器が飾られた。5年前の3・11東日本大震災では東北地方をはじめとする各地が被災し、栃木県にも甚大な被害が及んだ。伝統工芸を受け継ぐ人が年々減っていく中、震災の影響はそれに追い打ちを掛けるかたちとなり、地元には不安が広がったという。
 日本が世界に誇るものづくりを残していかな ければいけない。何とかふるさとへ貢献できない かと考えた末、W 4th店のオーナーである小林 俊仁さんは、ニューヨークという世界へ発信できる場所から、日本の伝統工芸などをPRしていくことを決めた。

まさに器は料理の一部! 益子焼の器に盛られた 料理は舌だけでなく目も楽しませてくれる

見て、触れて、味わう本物の良さ

 地元の栃木でもレストランを数店経営しており、日本とニューヨークを行き来するからこそ得られる感性や情報をフルに生かしてきた経験は、地元への貢献事業においても発揮されている。「益子焼を美術品としてしっかりと見てほしい」。本当に良いものはきちんと評価されるこの土地で、益子焼の魅力を伝えるこの企画は、小林さん自らが案を出し、県からのバックアップも得て実現できたという。
 この活動の始まりは3年前、日本のカルチャーをニューヨークで発信するイベント、ジャパン・ブロック・フェアで「芋フライ」や「スカイベリー」といった特産品を紹介したことに端を発する。このイベントは桜祭りと重なったこともあり来場者も多く、ニューヨーカーたちが出店に行列を作るなど大盛況だった。また、ニューヨークにまだないもの、これから流行りそうな日本のものを試したり、実際に手に取ってもらう絶好の機会となった。そして昨年は日本酒造組合が運営するイベントSake of Liquorで、米どころ栃木の日本酒を、日本酒人気の高まるニューヨークに売り込んだ。それと同時に店内ではTochigi Sake Weekを開催し、「外池酒造」、「島崎酒造」、「渡邊佐平商店」、「片山酒造」などの銘柄を用意。〝栃木の日本酒を益子焼の徳利でいただく〟という粋な体験は、多くのニューヨーカーに喜ばれた。

烏山和紙の照明は手作りならではのあたたかさが漂う

 今後も同様のPR活動を継続的に行っていくという同店。今回のイベントでは烏山和紙の照明や大谷石の食器といった栃木の特産品を使用し、また料理を盛る器には益子焼を使用した。お客さんの反応は予想以上に良く、その品のルーツを説明するとさらに興味を持ってくれる人も多かったという。「まずは知ってもらうきっかけを作り、そこから広げていくことが大切」と小林さんは語る。「単なるレストランではなく、そういう発信基地にしていきたい」と同店は次の企画に向けて動きだす。

烏山和紙を制作する様子


大谷石の採掘場


そのほかにも栃木県には多彩な伝統工芸品が


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栃木の伝統工芸品やイベントに関する問い合わせ
ON JAPAN CORP
www.on-jpn.com mail@on-jpn.com


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Ramen-Ya
W4th店
181 W4th St (bet 6th & 7th Ave)
212-989-5440
www.ramenya.nyc
www.facebook.com/RamenYanyc