「まだ主流ではないので、『日本ってワインも作っていたの?』と聞かれこともありますが、飲むと彼らの反応が変わるんです」そう、日本のナチュラルワインが、少しずつニューヨークで存在感を示し始めているのだ。
5月14日、ブルックリン・グリーンポイントで日本の2つのワイナリー、飲食関係者、またナチュラルワインの専門ライターを招いたイベントが行われ、昨今のニューヨークにおけるワイン事情が語られた。

◆ 「世界共通言語の “ワイン” を糧に」
グリーンポイントきってのお洒落エリアには、日本のナチュラルワイン10ブランドを取り扱う「Bin Bin Sake」があったり、ラーメン×ナチュラルワインという新たな世界を切り開くレストラン「Tonchin」があったり、街中の和食レストランでのペアリングも増えてきていたりと、日本酒、そしてジャパニーズ・ウイスキーに続いて認知度が広まってきている日本のナチュラルワイン。

今回は、そんな日本のナチュラルワインをニューヨークへ輸入するインポーター「D-1 WINE」そして、岡山の「Domaine Tetta」と栃木の「Coco Farm & Winery」の2つのワイナリーがパネルディスカッションに参加した。
「もともとワインを飲む文化がない岡山でワイン作りを始めたので、どの層にどうやって発信していくか? 約10年模索しながらやってきました。最近では日本でもアルコール消費量が減っていく中、ワインを飲まない層にもアプローチをしています。そして世界共通言語でもある “ワイン” を糧に、昔からの製法、テーブルグレープ(生食用ぶどう)を使って作るワイン、そして岡山という地域を世界に発信していきたい」と、Domaine Tettaの代表である高橋竜太さんは話す。

すでに市内のいくつかのレストランでの取り扱いがあり、「あえて日本食でないところをせめていきたい」と意気込むDomaine Tettaと、ニューヨークに進出してからまだ1年足らず、「30種ほどのナチュラルワインがあるので、飲む人に合わせて組み合わせはいかようにもできるから面白い」と醸造部長の柴田豊一郎語るCoco Farm & Winery。いずれも今後、さらなるニューヨークでの拡大を狙っていく。

◆ レストランでのリアルな光景
同イベントに登壇した日本食レストラン「Tsukimi」でソムリエを務めるShiho Tanakaさんは、「日本のワインを勧めると、まだ『日本って酒じゃないの?』『日本ってワイン作っていたの?』と言われるのですが、そんな彼らにはまずテイスティングなどで飲んでもらうようにしていて。飲むとクオリティの高さに気がつき、彼らの反応が変わるんです」と、レストランでの光景を話す。

続いて「日本のナチュラルワインは、他の国と比べて使用品種・栽培地域・アルコール度数・熟成期間などのレギュレーションがそこまで厳しくないので、コラボレーションの面においても広がりがあるんです。このユニークな日本のナチュラルワイン業界がもっと盛り上がることを願っています」と締めた。パネルディスカッションの後にはそれぞれのワインが振る舞われ、舌の肥えたニューヨーカーを唸らせた。

取材・文・写真/ナガタミユ
【Domaine Tetta】
公式サイト
https://tetta.jp/
公式インスタグラム
https://www.instagram.com/domaine_tetta/
【Coco Farm & Winery】
公式サイト
https://cocowine.com/
公式インスタグラム
https://www.instagram.com/cocofarmwinery/
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