2026年5月8日 早稲田アカデミーNY校 COLUMN

早稲田アカデミーNY校 川村先生の知って安心! 帰国入試情報室Vol. 14 「英語は『できる』のに、何で点数取れないの?」 

帰国生の強みを「武器」に変える視点

「海外にいるから英語はできるはずなのに、なぜか受験英語の問題になると点数が伸びない」「算数・数学は得意なはずなのに結果につながらない」と感じることはないでしょうか。帰国生の家庭では、こうした声をよく耳にします。実はその違いは、「できること」そのものではなく、それをどう使っているかにあります。今回は、子どもの強みを「武器」に変えるための考え方についてお話します。 

子どもの勉強について考えるとき、私たちはどうしても「できていないところ」に目が向きがちです。苦手な教科、間違えた問題、思うように進まない単元。もちろん、それらをそのままにしておくわけにはいきません。ただ、帰国生の学びを考えるときには、それと同じくらい、あるいはそれ以上に大切な視点があります。それが、「できていることをどう伸ばすか」という考え方です。

帰国生の子どもたちは、それぞれに大きな強みを持っています。英語力はもちろんのこと、多様な環境の中で学んできた経験、自分の意見を表現する力、初めての状況に対応する柔軟さ。これらは日本の学校だけではなかなか身に付きにくい力です。そして実際、帰国生の中学・高校入試でも、こうした力が評価される場面は少なくありません。

ただし、ここで重要なのは、「得意=そのまま評価されるわけではない」という点です。どれだけ英語ができても、それを使って考えたり伝えたりする力が伴わなければ、本当の強みにはなりません。逆に言えば、得意なことを意識して生かすことができれば、それは大きな武器になります。

以前、英語が得意な生徒がいました。現地校での生活も長く、英語でのコミュニケーションには困っていませんでした。しかも英検1級保持者で本人も英語力にはかなり自信を持っているようでした。ただ、帰国生入試を意識した学習に取り組み始めると、思うようにいかない場面が出てきました。文法や語彙を正確に扱う問題、日本語と英語を行き来する日英変換など、普段の生活で使っている英語とは違う力が求められたからです。当初は「英語はできるはずなのに」と戸惑いも見られました。

ところが、あるとき英語で読んだ内容を日本語でまとめ、自分の考えを説明する機会がありました。その経験を通して、「なんとなく分かる」から「正確に理解する」へ、「話せる」から「根拠をもって説明する」へと意識が変わっていきました。文法や語彙も単なる暗記としてではなく、「自分の考えを正しく伝えるための道具」として捉え直すようになり、学び方そのものが変わっていきました。得意だった英語が、初めて「使える力」として形になった瞬間でした。

帰国生の入試では、英語力そのものだけでなく、「それをどう使っているか」が問われる場面が増えています。文章を読み取る力、論理的に考える力、自分の意見を表現する力。こうした力は、単に問題を解くだけでは身に付きません。日々の中で、自分の得意なことを意識して使う経験の中で育っていきます。

家庭でできることは、とてもシンプルです。「どこができなかったか」だけでなく、「どこがうまくいったか」にも目を向けること。そして、「どうしてそれができたのか」を一緒に考えることです。「この考え方よかったね」「それは英語で理解していたからできたのかもしれないね」といった声がけは、子どもに自分の強みを意識させます。

もちろん、苦手なことに向き合うことも大切です。ただ、苦手ばかりに目を向けていると、子どもは自信を失いやすくなります。帰国生の強みは、「既に持っている力があること」です。その力を軸にしながら、少しずつ苦手に取り組んでいく。そのバランスが長く学び続ける力につながります。

子どもの将来は、何ができないかではなく何を強みにしていくかで大きく変わります。帰国生として培ってきた経験や力は、その子にしかない大きな財産です。それを「たまたまできること」で終わらせるのではなく、「使える力」として育てていくこと。その積み重ねが、やがて進路の選択肢を広げ、将来の可能性を大きくしていきます。得意なことは、子どもの未来を切り開く大きな武器になります。

早稲田アカデミー ニューヨーク校
https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html

早稲田アカデミーNY校  川村宏一(かわむら こういち)

早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2002年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門にて英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月から現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。お問い合わせは(メール:newyork@waseda-academy.com)まで。

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