ニューヨーク市のマムダニ市長と市議会は、2027会計年度の予算において、ペットケアのために150万ドルを計上した。これほど多くの予算を計上するのは初めて。低所得世帯や動物保護活動家がペットの健康を維持し、飼育を継続できるよう支援することが目的。過密状態にあるニューヨーク市の動物シェルターへの負担も軽減する。

同予算には、市として初めて実施されるペットフード配布パイロットプログラムへの75万ドルと、無料および低価格の避妊・去勢手術サービスの拡充に向けた75万ドルが含まれている。支援者たちは、この予算が動物保護団体などが要求した総額のほんの一部に過ぎないと指摘しつつも、市の生活費軽減アジェンダに向けた大きな前進として評価している。予算は6月30日に確定、7月1日の2027会計年度から正式に施行された。
NY市のペットケアプログラム
• ペットフードパントリー(75万ドル) 既存のコミュニティーフードバンクや地域拠点を活用して、市全域をカバーする全く新しいペットフード配布ネットワークを構築するために充てられる。利用資格の基準は、一般的な低所得者向け支援プログラムに準拠する。
• 不妊・去勢手術を推進(75万ドル) 前年比で25万ドルの増額となり、移動診療所の巡回ルートを支援が行き届いていない地域へ拡大するとともに、地元の獣医師で利用できる引換券を提供する。
2027会計年度の予算が2026年7月1日に発効したばかりであるため、ニューヨーク市は現在、導入の詳細、地域拠点および参加する動物病院の選定について最終調整中。新しいペットケアプログラムに参加したい場合は、ペットフードパントリーのパイロット事業実施を主導しているニューヨーク市社会福祉局(DSS)に連絡すること。
NYでペットと暮らすにはいくら必要?
物価の高騰が止まらないニューヨーク市で、ペットと暮らすには一体いくらかかるのだろうか。公的データを基にした計算サイト、ステートカルク(StateCalc)のニューヨーク市におけるペット関連支出データによると、最低限の年間飼育費用はこの町の生活費の高さを如実に反映している。
犬1匹につき年間1857ドル(日本円で約30万円=1ドル160円で換算 / ペットフード代約891ドル、定期的な獣医診療費433ドル、基本保険料669ドル、グルーミング代310ドル、その他の経費248ドル)
猫1匹につき年間1238ドル(日本円で約20万円=1ドル160円で換算 / ペットフード代が犬より安く、プロのグルーミングの必要性が少なく、保険料も低い)
ただし、これはあくまで最低限の経費であり、ペットフードなどの質にこだわれば経費は増える。また、急病で緊急治療施設(ER)のある動物病院を受診して、「1回の受診で数千ドルから1万ドル以上請求された」といった話もよく聞く。慢性疾患の場合も、治療費と薬代がかさみ、飼い主の経済状況次第では治療の継続を断念する、または積極的な治療を諦めるケースも少なくない。
市営シェルターは収容能力の限界に
ニューヨーク市の発表によると、2025年にニューヨーク市の動物シェルター(ACC)に収容された1万6000頭以上の動物のうち、およそ6500頭は飼い主による引き渡しであり、いわゆる“ノラ”ではなかった。また、2万人以上のニューヨーカーが基本的なケアやペットフードの費用を賄えなくなったため、緊急支援を求めたり、動物を引き渡そうとしてACCに連絡した。
引き渡しの理由は、インフレによる経済的困窮、獣医代の高騰(2019年以降、獣医代は55%急騰)、不安定な住居(家賃の値上げによる住環境の変化)などで、ACCは深刻な収容能力の限界に陥った。

















