「左スワイプ」が当たり前で、次から次へと素早く移り変わる文化が根付いているニューヨークでは出会いの機会は絶えずあるにもかかわらず、対面での有意義なつながりを見つけることはますます難しくなっている。こうした中、議論や読書、パズル、編み物、裁縫など共通の趣味や活動を通じて自然な会話を促す新しい交流クラブが注目を集めている。6月29日付ニューヨークタイムズのレポートから紹介する。

興味や価値観が同じ人たちと集う場
「クリティカル・シンキング・クラブ」は、参加者が一つの問いについて意見を交わし、笑いも交えながら交流する場だ。イベント後には少人数に分かれて話を続けるため、「お仕事は何をされているんですか」といった退屈で刺激のない表面的な世間話をせずに、自然な会話を展開できる。他にも、ジグソーパズルを囲む「パズル・ピープル・オブNYC」、好きな本を持ち寄る「リーディングリズムズ」、衣服を繕いながら思い出を語るブルックリンの「ダーン・イット!」などがある。低料金または無料で、会話が得意でない人も参加しやすいのが特徴だ。
「パズル・ピープル・オブNYC」の発起人の一人であるダニエル・ナレンさん(41)は、「バーなどには行かないしね。それに、一人でパズルを解くのにうんざりしていたんだ」と話す。ファッションデザイナーであり、「ダーン・イット!」のリーダーの一人であるヘキマ・ハパさん(52)は、「みんな月に一度の集まりを本当に楽しみにしているわ。まるで小さな家族の集まりのようなものよ」と笑顔で語る。
ブルックリン在住のジリアン・リチャードソンさん(32)は、こうしたグループのほとんどを、The Joy List というニュースレターで紹介している。このニュースレターでは、人とのつながりを築く最高の機会を提供すると彼女が感じる活動を厳選して紹介している。「コミュニティーとは、『私が来なかったら、みんなが私のことを気にかけてくれる』ような場所です」とリチャードソンさん。2015年にニューヨークに引っ越してきた際、とても孤独を感じていたという。「『自分はどんな人間になりたいのか』と自問してみてください。そして、自分と同じような価値観や興味を持つ人たちと活動できる場を探しましょう」
孤独を感じるZ世代とミレニアル世代
背景には、若い世代を中心に広がる孤独がある。アメリカの成人1500人を対象にしたハーバード教育大学院の2024年の調査によると、18~29歳と30~44歳が他の年齢層と比べて、孤独を感じていると回答する割合が高かった。ワシントン大学の研究では、8カ国の成人約8000人を対象に調査が行われ、若年成人のほぼ半数が「孤独を感じる」と回答したことが明らかになった。専門家は、完璧に見られたいという圧力や、弱さを見せることへの恐れが、親密な友情を妨げていると指摘する。
社交性より継続が、関係を育む鍵
ニューヨーク大学の社会学者エリック・クリネンバーグ氏は、遊び場やコミュニティーガーデンなど、人が集まる目的を持った「社会的インフラ」を整えることが関係づくりに有効だと説明する。共通の興味を起点にすれば、交流は無理なく生まれやすい。実際、討論会で知り合った参加者2人は終了後も一緒に歩き、数週間後も連絡を取り続けていた。孤独対策には、単に人の多い場所へ行くのではなく、継続して顔を合わせ、欠席すれば誰かが気づくような居場所を持つことが重要だ。参加者に求められるのは、社交性よりも、同じ活動に繰り返し足を運ぶ姿勢だという。

















